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2012/03/21

イノベーション始めました。(と言いたい) 〜イノベーションの始め方〜


どっちかっていうと忘備録です。友人と話していて自分はこんな事がやりたいのかなーと思ったことがあったので書き留めておきます。どのようにイノベーションや新しいこととふれあいたいか、という記述です。共感してくれる人がいると嬉しいです。



考えたきっかけは以前友人がアメリカに行ったときに聞いた、という一言でした。

"日本は売り方が下手すぎる。あんなに良い物やすごい技術を持っていながら、売る事が下手だから世界をリードできないんだ。"


そこで友人は今MBA取得中で、その時から売り方の仕組みづくりに興味を持ったそうです。iTunes とかも「どうやったら会社的に売上が上がるか」という観点から考えても非常に良いモデルだ、と言っていました。マーケティング的な部分ではなく、お金のまわり方のしくみづくり。そこに友人は興味を持っていました。

自分は「人が何を望んでいるか」ということに興味があったのでじゃー俺のやりたいことって何なんだろう?とか考えていたときに、以前 結局デザイン思考ってなに!? 〜もう一度考えなおしてみる〜の中でも紹介したTim Brown がTed でプレゼンしたときの「新しいものを生み出す際に必要な3つの要因」が頭に浮かびました。

3つの大事な要因



Tim Brown が言っていたこの3つのファクター。
  • Desirability
    • what's the people's needs: 人々が何を望んでいるか
  • Feasibility
    • what is technically feasible: 何が技術によって可能か
  • Viability
    • Economic viability: 経済的な実行可能性はあるか
 この図で見ると、おそらく友人が興味を持っていることはViability(実行可能性、いわゆるビジネス) の部分であり、自分はDesirability(Needs など) の部分なのかな、と思うことが出来ました。

 そしてお互いの意見が一致した部分は、日本のテクノロジーはすごい。Feasibility の部分での可能な範囲は日本が一番と言ってもいいくらいだよね。ということでした。

日本は5年、周りよりも早い"技術"を持っている

 これは自分が海外に居るときにいつも言われたことです。日本の技術は5年分進んでいると。サービスの水準の高さは感じ取ることは出来ましたが、技術の面では?と思うことも結構ありました。

ただ最近感じたのは、以前ドイツ人の友人が疑問に思ったことでした。彼女は日本に来た際に「日本ではQRコードって使われていないの?」と訪ねました。「今ドイツではどこに行ってもQRコードが使われていて、すごい便利だ」と。その時自分も日本でQRコードがあちこちで使われていたときのことを思い出しました。きっと5年くらい前でしたよね。。。確かに、5年くらい早いのかも・・・・と感じた瞬間でした。

 イノベーションを生み出す為のプロセス

 ここからは完全に勘違いも入るのかもしれないのですが、日本に於いて新しいものを出す際の主流な流れはやはりテクノロジーからだと思っています。先程の3つの要因を、ニーズ、技術、売り方で見ると
「こんな技術ができた。こんな事が出来る」
「じゃぁそれをどんな形で売っていくべきか」
「それは人に受け入れられるだろうか」
というような形なのかなと・・・
下の2つは入れ替えてもいいですが、これがTechnology Driven なイノベーションとでも言いますかね。。。。
もちろん日本の会社でもNeeds Driven というか「ニーズは何か」という所から入ってくることもありますし、Business Driven「売り方」などから入ることもあるとおもうのですが、全ての形に関して気になったことが、

「日本の会社って必ずどこかから始まって、どこかで終わるよね」

って事です。どこかがどこかに、仕事を「ふる」ような形です。そして一つのところから始まったアイディアを削り、時に付け足し、他のところにマッチする形に少しづつ直していって1 -> 2 -> 3 と進んでいく段階で「妥協点」を探す進め方です。
もちろん大きな会社をマネージしていく上で、分かりやすいプロセスというのは必要だとは思います。

ただ自分のやりたい事って実はこれに属する人たちが、一緒の机を囲んで新しいものを最初から最後まで一緒に作れるような、そんな環境な気がしています。それぞれの事を考える人と人との間に壁がなく、いつもコミュニケーションが取れるような状態。線形な、リニアなプロセスではなく、グチャって感じでみんな混ざって新しいものを作っていきたい、それが自分にとっての理想的な環境かもしれないなーと思いました。もちろん大きい会社になると難しいとは思うんですけどね。。。もしくは自分が知らないだけでそんなの普通だよって感じかもしれないのですが・・・



 ニーズを見ているようで何も見ていない

 そしてもう一つ気になったことは「ニーズ」の捉え方です。自分は「ニーズ」を探すことに興味がある、という事は先ほど言いましたが、それってどこの会社に聞いても「そんなことやっているよ」って言われることだと思うんです。でも少し、勘違いかもしれないですが違う気がするんですよね。
今言われているニーズを追い求めた結果が「ガラケー」だと思っているんです。

例えば・・・例えばですけど、
「Google Calender と 紙ベースの手帳の予定とを同期できるようになりたい」
というニーズがあるとします。


・・・・と書きましたが、僕の中ではこれは「ニーズ」では無いんです。

じゃぁニーズとは何か?
きっとこの不満が起きたことのContext を知ることやなぜそれが問題であるかを知る事、そもそもどんな事がしたいのかを知ることが「ニーズ」の把握です。そうでなくこの文面の表面だけを捉え、「機能」を付け足すことが僕はガラケーを生んだのかな、と。。。
以前Design Thinkingなどの話の中では何度も言っていたのですが、ニーズってのは名詞ではなく「動詞」である事が僕の中の考え方なんです。

イノベーション始めました、と言える日が来ますように

かなり釣り的なタイトルになってしまったのですが、イノベーションに始め方や作り方なんて無いと思いますw イノベーションの数だけその作り出し方はあり、それが新しいからこそそれをイノベーションと呼ぶのですよね。
そもそもイノベーションて何?って定義が無いので話の内容も曖昧ではありますが。。。

でも僕は前の章で書いたようにいつかいろいろなバックグラウンドの人たちと「最初から最後まで」新しいものやサービスを作っていける環境に居たい、そしてその時もう一度「イノベーション始めました」とつぶやけるようになりたいな、と思いこのタイトルを使わせていただきまいた。そして自分はそのスタイルこそが、イノベーションを作り出す一歩目になるのかな、と考えています。

もちろん、どんなはじめ方でもあるとおもうんですけどね。Apple がそんな事考えてたとも思いませんし。でも、個人的にそういうスタイルに興味が有るんです。そして今自分が考える重要な部分が「ユーザ目線」などを考えることによるニーズの把握なのです。その分野に強くなりたいなーー。

はぁ・・・また偉そうになってしまって申し訳ないです。ちょっとながい忘備録なので許してくださいw

(この記事は [KNLog: Design Thinkingなどの話] の中の1記事です)

---追記---

少しイノベーションとアイディアの具現化、というのをごっちゃにしてないか、という意見をいただきました。確かにそうだと思います。正直ブログをより見栄えよくするためにイノベーションという言葉を使ってしまったことは確かです。
一般的に言われているイノベーションが起こすものなのか、起きるものなのか、始めるものなのか作るものなのかはわかりませんが、 確かにタイトルや最後の章のサブタイトルは「イノベーションを起こすための活動を始めました」くらいの方が良いのかもしれません。ご指摘ありがとうございました。
ちなみに以前ME310の中でイノベーションとは「新しくて成功したもの」的な考えかたでしたが、成功の定義も曖昧ですしね。暮らしに溶け込んでいる物、なくては生きられないものなど見方はそれぞれでいいと思います。
ただここではシンプルに、新しく人にとって良い経験を提供できるもの、くらいで考えていました。

また以前執筆したFRAD の方の
Open Field Notes: デザイン思考の勘違い 〜プロトタイピングはプロセスそのものである〜
の記事も若干似たことを言っている(いないかもw)ので時間があったら見ておいてください。

1 件のコメント:

  1. 橋本 吉弘2012年3月25日 22:56

    製品工場の立ち上げと運営をやっている身としては、とても面白い記事だった!!
    特にイノベーションのプロセスに関してはその通りだと思う。例えば電気機器でいったら、機能部品屋や素材屋はすこぶる好調で、最終製品メーカーは軒並み不調だよね。その理由は前者はプロセス通りにやっても、協力会社への利益の分配がほとんどいらないのに対して、後者は、キー技術を他社に委ねざるを得ない場合が多すぎて利益の大半をそこに奪われるし、製造から販売までに関わる会社が多いので利益分配も苦しいからと、読んで感じました。
    それに古い工場を破棄するのも日本だとめっちゃ難しいから、技術主導のプロセスのサイクルも回しづらんだよね~。だから、最終製品でもファブレス企業はサイクル早いから強いっすね。アップルもhon hai大先生に製造委ねてるし。
    結局日本はイケてるキーコンポーネントを研究開発製造販売するか、概念の研究開発に全てを注いで製造販売を他に委ねる形の方が効率良いんだろうねぇ。

    ちなみに、ガラケーは日本メーカーが他社製品のパクリからの抜き去りが各社めっちゃ得意だから、他社のパクリをお互いにやりあってたら自然と規格化したって流れとみた。
    ニーズ探しというウルトラ難しい事の実践よりも、他社との横並びに重きをおいた方が確実だもんな。
    何たって、変わったもの作っても、一位になれなかったら死ぬからねぇ。結果として海外製品への障壁にもなるから横並びも悪くなかったりする。

    結局iphoneは人間じゃない神が作ったものだと思って、それよりイケてるパクリ製品を作るのが日本流なんだろうねぇ。まぁそう簡単に抜けないんだけど…。

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