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今更!?って感じかもしれないですが、デザイン思考について語ります。
いやもうデザイン思考とか古いだろwwwって思う人もいるとおもうのですが今だからこそ、書かせてください。
ちょっとした動機
書き始める前に、少し動機について説明させてください。本当はもう、書かないことにしていたんですよ。デザイン思考系の記事。ただ先日「デザイン思考とかポスト・イット使ってぺたぺたやってイノベーションとか騒いでるだけだろ」みたいなことを言っている団体が居たので、ちょっとムカッとして書くことにしました。
デザイン思考を語る際に
まぁただ・・・確かにデザイン思考には統一された定義見たいのは無いんですよ。そして一見遊んでいる様に見えるのも確かなんです。クリエイティビティ、とか言ってそれの敵である「遠慮」や「恥ずかしさ」を取り除くには、子供心を刺激するのが一番と言っている人もいますし。。。
ですので今回語るのはあくまで僕の視点です。きっと共感出来ないこともあるかと思いますが見てってくれると嬉しいです。
そもそもデザイン思考は何なのか
僕の考えではデザイン思考ってのはその名のとおり「考え方」なんです。日本では一人歩きして経営学になったり方法論になったりマーケティングになったりと、様々な定義を持ちますが、要は「考え方」なんです。
デザイナーがモノを作る際に、ユーザを観察して、プロトタイプとかを作ってってやるように、実際に会社単位でそう動いたらいいんじゃないの?ってそんな感じの考え方なんです。
ちなみにTim Brown はハーバードビジネスレビュー上でこう言いました
"A discipline that uses the designer’s sensibility and methods to match people’s needs with what is technologically feasible and what a viable business strategy can convert into customer value and market opportunity"
デザイナーの感性や方法を使って、人々のニーズに合うように技術の応用可能性とビジネス上の戦略を消費者の価値とマーケットの機会に落としこむ試み
(とでも訳しますかね・・・・雑ですいません)
そしてTED Talk ではこのような図を用い、考えるべく3つの範囲に言及しました
- Desirability
- what's the people's needs: 人々が何を望んでいるか
- Feasibility
- what is technically feasible: 何が技術によって可能か
- Viability
- Economic viability: 経済的な実行可能性はあるか
だから「リンゴは赤い」とかという「事実」と違い、「女性をどう落としたらいいか」というアプローチのうちの一つの考え方のように、人に向き不向きが合ったりですとか受け入れやすい難いとかはあると思うんですよね。
デザイン思考をサッカーで例えてみた
サッカーで例えてみましょう。
例えば「試合に勝ちたい」という目標があるとします。そしてそれを達成するためにいろんな考え方や戦略があるんですよね。
たとえばデザイン思考派の監督であれば、どう考えるでしょうか?
きっと相手チームのことを詳しく知ります。相手の癖は何か、何を考えてサッカーをしているか、チームの傾向はどのようなものがあるか、攻撃は誰から始まるか。。。(ニードファインディング、インサイト)
そしてチームの力と照らし合わせます。 実際にこのチームでは何が出来て、何が出来ないのか。(実現可能性)
そこからは仮説と検証です。似たようなチームを集めるでもよし、なにか試したいこと、疑問に思うことがあればすぐさま試し、ブラッシュアップしていきます。(アイディア出しとプロトタイプ、シナリオなど)
さらに言えばデザイン思考派の監督であれば、新しい視点を取り入れるためにその監督は複数人で、もしかしたら経験者では無いかもしれません。そしてその場合はよりしっかりとサッカーのことを知るために、経験者に話を聞きにいくでしょう。新しい視点を持てる、固定観念にとらわれないという強みから、誰も思いつかない様な戦略を立てるかもしれません。(多様なバックグラウンドを持つその分野に対して固定観念のないメンバー)
それは試合だけでなく、参加しているリーグにも適用できることですね。そのリーグに於ける特徴はなにか?考え方は何か?どのようなタイプの相手がいるか(ペルソナ、エスノグラフィー)そしてそこから仮説と検証です。そのようにリーグ内で勝ちを収めるでしょう。
例えば通常のマーケティング的な方法をとる監督ならどうでしょうか?
おそらくアンケート結果やデータを元に、攻撃、守備重視型 、個人プレー、チームプレーなど各リーグ内の相手を分析します。(市場、競合の調査)そして自分のチームの強み弱みを考え(SWOT分析)、自分たちがどこのセグメントを狙えば一番勝利をしやすいか予想します。そこのセグメントに入るための戦略を決定していく、といった形でしょうか?
統計学系の監督であれば、今までの勝利を収めてきたチームのデータを集めてきて、どのような要因が勝利に結びついているかを洗い出すでしょう。
会計系の監督であれば、例えばボールを良く失うところ、あまり得られていないところはどこか、前の年と変わった部分はどこかを突き詰め、そこを改善するための努力をするでしょう。
組織論系の監督であれば、リーダーの有無やコミュニケーションの質から変えるかもしれません
技術力を重視する系の監督ならば、自分たちの強みを伸ばすことだけを考えるでしょう。(ちなみにサッカーに関してはこれでいいと思いますw)
このように勝利という目標を達成するためにはいろんな考え方、アプローチがありデザイン思考はその1つです。だから別に「嫌い」って言われるのは仕方ないですが、ポスト・イットもってイノベーションだーって騒いでるだけなわけでは無いはずですw
オーソドックスに行くなら、従来のほうが良いのかもしれません。例えば以前IDEO が出した水を濾過して運べる自転車 (http://www.ideo.com/work/aquaduct)とかはかなり「普通」とは外れています。そのようなことを求めるのが、デザイン思考なのかな、と個人的には考えているんですよね。
もちろんサッカーに関しては人の力が重要になってきて、作戦とか戦略とかどうとかはいっていられないこともあるとは思うのですが、デザイン思考の活躍した例で僕はとても好きな例があります。以下のIDEOが売上アップに貢献した駅構内の自販機の例です。
もし、あなたが地下鉄にコンサルとして雇われ、「自動販売機(ジュースとか)の売り上げを上げて欲しい?」と頼まれたら、どうしますか?
(中略)
IDEOが採用したのは、全く異なる答えでした。
「自販機の上に時計を置く」
IDEOが採用した調査手法は、地下鉄のホームへへばりつき、自販機を買う人、買わない人の行動をとにかく観察し続けること、でした。
すると面白いことに
なんてことが分かったそうです。
- 地下鉄を歩いている人は、電車の待ち時間をみんな気にしている
- 自販機で物を買う人も、買う直前に(多分ジュースを飲む合間があるか)時間をチェックしている
(中略)
そこで
「じゃぁ、時間をチェックする時計と自販機をセットにして置いたら、購買が促進できるのでは?」
という仮説にたどりついたわけです。
結果、大当たり、と。
結局デザイン思考って何?って質問には答えられてはいないかもしれないですが、デザイン思考は「考え方」です。もしかしたら人の暮らしを良くすることが出来るかもしれない考え方、それだけです。異論等たくさんあると思いますがもしよければコメントにでも下さい。
(この記事は [KNLog: Design Thinkingなどの話] の中の1記事です)
西藤さん とてもわかりやすいコメントでした。本当にそうですね、考え方でしかありませんね。それを活用する人としない人。知っている人と知って行動する人。ぼくは活用する人でありたいと思っています。
返信削除ペルソナデザイナーズ様
返信削除コメントありがとうございます。共感していただけてなによりです。そうですね。使うためにメソドロジー化をされたものを何も考えずに受け入れてしまっている人が多い反面、根本にあるのはただの一つの考え方なきがしています。世の中のもの全てそうだとは思いますが、形があるものにはなんかしらの理由がありますからね。その形の後ろにある物を理解しなければ特にこのような分野は難しい気がしています。私も理解して、活用できるひとで有りたいです。