ヘッダー

このエントリーをはてなブックマークに追加

2012/06/23

イノベーティブなモノと良いUXを与えるモノって違うのかってお話


デザイン思考とかをかじって、その魔法にかかれば自分もイノベーティブなものを作れるようになると思っていた。ただもしかしたら自分は、「良いUXを提供する事」と「イノベーティブなモノを作ること」をごっちゃにしていたんじゃないかってお話をとりあえず記事にしようと思います。




簡略に大枠で言うと、ユーザの理解とアイディア出し、その2つの行き来をすることで自分はイノベーティブなものが作れるのだと思っていました。IDEOがデザインプロセスを
  1. Inspiration(ひらめきを得るプロセス)
  2. Ideation(概念構築のプロセス)
  3. Implementation(実現化のプロセス)
と表現したように。(あるワークショップではInspiration/Strategy/Ideationというのもあるようですね。)


ただそんな考えをガツンと変えるようなプレゼンに出会ってしまったのですよ 。



動画を見るのがめんどくさい人用に書いておくと、アイディアの出し方、バイアスの壊し方についてわかりやすく説明している動画です。

ちなみに一応またそのうちコロコロ変わると思うのですが、この記事内では「イノベーティブなモノ」、ってのを「バイアスを壊すことの出来たモノ(≒今までにない発想で、世の中にインパクトを与える可能性を秘めている物)」と定義することにします。なんとなく濱口さんのプレゼンを見ていてその定義が一番しっくり来る気がしました。
だからイノベーティブなモノであっても、イノベーションが起こせるとは限りません。世の中にインパクトを与える可能性を秘めているモノ、という意味でイノベーティブなモノ、と使わせていただきます。(クリエイティブなモノってのははまたなんとなくですが、バイアス上に乗ってても良い面白い、新しい発想です。)


イノベーションを起こしたい!と思っていたけども

自分の中で、「消費者の理解が、イノベーションにつながる」というのは今でもなんとなく持っているのですが、でもイノベーティブなものをつくるのにはもしかしたら消費者の理解なんてなくても出来るんじゃないか?って気になりました。

「バイアスを壊すことさえ出来れば、イノベーティブなのかもしれない・・・」

もちろんそれ「だけ」では無いと思うのですが、今までの枠組みにとらわれない発想が出来それを人の望むような形に落としこんでいくことでイノベーションは生まれるのかもしれない・・・

デザイン思考の持つ2つの異なるフェーズ
デザイン思考とかをかじって、自分が興味を持ったのが「ユーザ目線」でした。「ユーザが何を望んでいるか、ユーザがそのシステムとどう関わっていくかを考えること」です。そしてそれをきっかけとして、良いアイディアを出していく事が出来る。だからイノベーティブなものを作るのには、2通りの方法があると考えたんです。

 「簡単に見つかるようなニーズや問題をとてもクリエイティブなアイディアで解いていく方法」
と、
「なかなか見つけることが出来ないようなニーズや問題を解く方法」。

アイディア出しというのは鍛えてどうにかなるものではない、というのが自分の持論でした。苦手な方ではないけど、かと言ってとてつもなく良いアイディアが出せるか、といったらそうではない。だから自分が目指す方向は「ユーザ目線」になることによって、隠れたニーズや問題などの「よいきっかけ」を見つけ出す事だと考えました。そして出来る限りその「よいきっかけ」を見つけることが良いモノへと近道だと考えていました。

だからこそ濱口さんのプレゼンを見て、「アイディア出し」の力も努力次第でもしかしたら伸ばすことが出来るのかもしれない、と思ったことは結構衝撃だったんですよね。

結局はアイディア出しが大事?

 あまり良いアイディアがでない場合、何が起こるのだろう、と考えました。
ユーザのニーズなり問題なりの「良いきっかけ」に、さらにアイディアをのせる。 それはイノベーティブな気はするけども、「人が望む物や人が困っていることを見つけそれを実現・解決するための方法を考える」ってのは、もしかしたらイノベーティブなモノを作るのではなく、良いユーザエクスペリエンスを提供することに繋がるのではないかと考えたんです。


イノベーションを起こす!ってのにはアイディア出しが大事なのかな。
ユーザの理解とIDEATIONなんて全然違う話かもしれないですしね。
もちろん、双方があってこそ、なのですが・・・

同じユーザ理解でも、良いアイディア(、もしくはバイアスを壊すアイディア)を出す「スターティングポイント(=きっかけ)」としてのユーザ理解と、何かしらアイディアが出た後、それを形として落としこんでいくためのユーザ理解ってのはまた少し別次元な話かもしれません。今回のUnderstanding Usersってのは若干後者に近いかもです。もちろん後者の過程の中で新しいアイディアが生まれてくることもあると思うので、完全に一致するとは思わないのですが・・・
また前者を考えると、その「スターティングポイント」から実際に何かを考えるときにIDEATIONが必要、という点でやはりイノベーティブなものを作るためにIDEATIONはどこにも絡んでくるのかな、と思ったんです。

そしてアイディアベース、ユーザ理解ベースのどちらでもおそらく共通なのが、プロトタイピング等によるユーザテストを必要とする(もしくはあったほうがより良いアウトプットになる)というところでしょうか。それによってアイディアベースのものでもよりユーザのニーズに近い形になる気がします。

人に何を与えたいのか、って話ですが、なんとなく。どっちも大事ですけどね。そんなことを考えていました。
あんまり共感はないかもしれないですが、自分の中できちんと取っておきたいことだったので記事にさせていただきました。

※ 追記1
イノベーティブとクリエイティブ、自分も記事の中で混同させてしまっていました。タイトルを含め笑 修正いたしました。

※追記2
イノベーティブ、よりもクリエイティブなモノの方がしっくり来るんじゃないか、ってコメントがありました。確かにそうかも知れないです。ただ敢えて今回はイノベーティブを多く使い、あまり「クリエイティブ」という言葉を使いませんでした。
 理由としては、「バイアスから抜けだした、イノベーションを起こす可能性を秘めている物」をイノベーティブと呼びたかったからです。「バイアスが掛かっていても、クリエイティブなものは生まれる」と自分は考えているため、クリエイティブとイノベーティブを使い分けてみました。もちろん個人的な分け方ですのでそれってどうなの?って方もいるとおもうのですが、今回の記事ではそうさせてください。ご指摘ありがとうございます。

参照
Open Field Notes: "What is Design Thinkng?" by Deniss Boyle
IDEOワークショップ参加報告

4 件のコメント:

  1. この記事を読んで、真っ先に頭に浮かんだのがiPhoneでした。
    iPhoneはクリエイティブだったけども、ユーザが抱える問題などを理解して作られたということではないのかな、と。
    クリエイティブな製品がイノベーションを起こした一例なのではないかと思いました。

    あと、『クリエイティブ』と『イノベーティブ』の違いがちょっとわかりません><
    例えば、「イノベーティブなモノであっても、イノベーションが起こせるとは限りません。」の『イノベーティブ』は『クリエイティブ』の方がしっくりきます。

    ここで、『クリエイティブ』だけど『non-イノベーティブ』なものってなんだろうってちょっと考えてみました。

    「クリエイティブなモノ」=「バイアスを壊すことの出来たモノ」
    「イノベーティブなモノ」=「イノベーションを起こしたモノ」
    と定義し、さらに、
    イノベーションの定義はシュンペーターのものに従うと、
    「私たちが持っているバイアスを壊したけども、製品そのもの、生産プロセス、そして組織などの大きな変化にはつながらなかったもの」ってことになります。

    あまり良いものが思いつかなかったのですが、「ブラウザのアドレスバーで検索できるようにしたこと」ってそうなのかなっと。
    「検索サイトで検索する」というバイアスは壊したけども、企業内に大きな変化を生み出したわけではないのではないでしょうか。

    ここで、さらに思ったことは、「ブラウザのアドレスバーで検索できるようにしたこと」はユーザが抱えていた「わざわざ検索サイトで検索しなければならない」というストレスを解消してくれた、つまり good UXでもありそうだということです。
    結果、クリエイティブで、good UXだけど、イノベーティブではないという話になってしまいました。

    まだ一人でモヤモヤしてますが、考えがまとまればまた書き込みます。面白い議題有難うございました。

    返信削除
  2. 「クリエイティブ」と「イノベーティブ」は確かにそうかも知れないです。ただ敢えて今回はイノベーティブを多く使い、あまり「クリエイティブ」という言葉を使いませんでした。
    理由としては、「バイアスから抜けだした、イノベーションを起こす可能性を秘めている物」をイノベーティブと呼びたかったからです。「バイアスが掛かっていても、クリエイティブなものは生まれる」と自分は考えているため、クリエイティブとイノベーティブを使い分けてみました。確かにクリエイティブ=イノベーティブのこともあるとは思うんですけどね・・・個人的な感覚的に言うとここではイノベーティブは「ガツン」という衝撃で、クリエイティブは「うおぉ」って感動できるような感じですwわからなそうwww
    産業革命、とかの時代とかになってしまうんですけどあそことかイノベーティブだけどクリエイティブではない感じですw
    もちろん個人的な分け方ですのでそれってどうなの?って方もいるとおもうのですが、今回の記事ではそうさせてください。ご指摘ありがとうございます。

    返信削除
    返信
    1. このコメントは投稿者によって削除されました。

      削除
    2. 修正お疲れさまでした<(_ _)>

      私が勘違いしていた部分が多々あったようです^^;
      まず、『「クリエイティブなモノ」、ってのを「バイアスを壊すことの出来たモノ」』と書かれていたので、その上で話を進めておりました。
      これがクリエイティブではなく、イノベーティブということでしたら、『だからイノベーティブなモノであっても、イノベーションが起こせるとは限りません。』という点も納得できます。

      あと、動画を見て、「バイアス」についても少し勘違いしていたと認識しました。

      上で私が挙げた例を改めて考えると、、「ブラウザのアドレスバーで検索できるようにしたこと」というのは、「ネットで検索」といったバイアスの中で生まれたクリエイティブなモノなのかもしれません。
      イノベーティブなモノは、思いもよらない方法で情報を提示してくれるんでしょうね。

      『イノベーティブは「ガツン」という衝撃で、クリエイティブは「うおぉ」って感動できるような感じです』
      というのはなんとなくわかります^^
      good UXは後者なのかもしれませんね。

      削除