2011/12/30
Beyond Usability とは言うけれど
Usability と UX
今UX に関する論文などをあさっていて、いろーんな論文を読んでる。とはいうものの最近就活であんまり読んでいないけど。
UX、つまりユーザーエクスペリエンスを Beyond Usability と位置づける人が居る。
Marc Hassenzahl, Noam Tractinsky(2006) とかはむしろBeyond instrumental という要素について言及しているだけだけども。
ちなみに脱線だけどInstrumental とかはUX の話にはよく出てきて、商品そのものの特性に関わる話、とでも言うのかな。たとえば使いやすい、とか役に立つ、とか。
これとほぼ同じ考え方でPragmatic ってのがあったりするんだけども、ここらへんのまとめの話はまたいつの日か。論文でやるとしたらここではかけないのかもしれないけども。。。
Pleasure With Products: Beyond Usability って本もあったりするくらい、Beyond Usability って言葉自体良く使われている。まぁコレはどのようなことか簡単にというと
Usability ってのは、商品を使いやすくするために物について考える事。そして今、いろーーーんな研究がされて、いろんなことが分かってきたり、マーケットにある全ての商品は、この考え方を取り入れている。
で、も、これだけを考えていても、商品て面白くないよねってのが最近の主張。
Tractinsky は確か2000年の論文で、美しいものは使いやすい、という結論を導く論文を書いた。これってちょっと飛躍するけど、美しい物はそのもの自身の評価を高くする、とも取れる。
たとえばちょっとこのWeb サイトとかを見て欲しい
これはヤコブニールセンってユーザビリティの父みたいな人とドナルドノーマンてHCI 界(認知とかかな?)のかなりの重鎮のグループの作ったweb サイト(なはず)何だけどもどうも・・・華やかさには欠けていると思う。もちろん悪い意味ではない。情報を提供する、という意味では素晴らしいサイトであることは間違いないからだ。ただ使いやすさをおそらく求めまくった結果がコレであるならば、「人が使いたい、使っていて楽しい」と思うサイトとは若干離れてしまうのではないか?って気がしたのですよ
Usability Driven と Aesthetic Driven
でもここでちょっと思うのは。。。ユーザビリティってどの段階で考えることなんだろうって事。たとえばFunction ってのがもう決まっているとしてそこから具体的に物を作り上げるってなったときにどのようにそれを実現しているんだろう??
一つはサイトをある程度デザイナーが思うままに作って、Usability 屋さんにテストして使いづらいところとか発見したりTips みたいなものをケアしながら直してもらって
もうひとつははじめからTips とかケアしてテストを重ねながらデザイナーとUsability 屋さんが同時に考えていって
もうひとつははじめからユーザビリティのことしか考えないでレイアウトとかを考えてそれをデザイナーと言われる人に装飾してもらって・・・
まぁある意味Usability 屋さんもデザイナーではあるとおもうんだけどもさ。。。
あげた3つはそれぞれ、ユーザビリティ後付派、同時派、ユーザビリティ先行派と勝手に名付けられるかもしれないです・・・
どれがいいのかはわからないですがなんとなく、個人的には同時派がバランス取れるだろうな、と思うのです。開発段階からユーザビリティの観点は取り入れるべきなのですね。
片方を犠牲に?
前の章で若干触れたかったことは、Beyond Usability とか言っておきながら、そもそもそれはUsability の延長なのか、それともUsability と対峙してしまう可能性のある別の要因なのか?ってこと。
これは自分の英語の解釈の問題かもしれないけど、Beyond Usability って言うんだからその概念はUsability もふくんでいて当然だ、というのが自分の解釈。Usabilityを今まで勉強してた人がそんなの必要ない、と言うとは思わない。Usability を超える、よりおおきな概念であるのだと解釈して間違いは無いと思う。
でも・・・喜びとか美しさとかがたまにUsability とトレードオフになることもあるんじゃないの?と思うことはある。
極端な例としてはスタルクのレモンスクイーザー。
昔紹介したAffective クオリティとか、Emotional デザインとかでも取り上げられてる商品だけども。。。
コレは一応レモン絞り機です。ただ使いやすさはダメダメです。スタルクはコレをレモン絞りきでなく"Conversation starter" として位置づけているとか居ないとか。
日本でも売れているはずです。ただあんまり家とかにいろんな人を呼ぶ文化のない日本(あるかもだけどパーティとかあんまりしないし)での需要は外よりは少ないのではなんて思ってしまったり。
まぁコレはアーティスティックなものであるかもしれないからかもしれないけど、美しさを重視したばかりに使いやすさについては手が回らなかったと言えなくも無い気がする。
Beyond Usability といえば
ただもし一つBeyond Usability と言われて思いつくものは何か、といえば、もう月並みだけどiPhone が出てくる。まぁ発売当初のことを想像して、ですが
あれは、使いやすさがそれまでとあまりに違いすぎた。卓越した操作性。そしてそれが与える小さな感動の積み重ね。そして同時にあれは使いやすさを一つ上の枠から見た商品である・・・・とも言えなくもない気がする笑
つまり今まではたとえば「ボタンを押しやすく」「文字をでかく」「画面を大きく」とかそういった「後付の使いやすさ」見たいのしか考えられてこなかった。でもあれは開発段階というかもうはじめから「使いやすさ」というのは開発の前提の一つとして取り組まれていて、形を根本から見直している。そしてどれだけ進歩した今でもとくにユーザビリティの大きな改善はされていないように思われる。もちろんfunction が増えるに連れてそゆのは考えられていくのだろうけども。
Beyond Usability と言うけれど
つまり卓越したユーザビリティがあれば、人々に感動を与えられるということがBeyond Usability??? ・・・・・って訳でも無い気がする。何か卓越したものがあればそれが何であろうと人には感動を与えるだろう。
最終的に個人的には、何がBeyond なのかは分からなかったけど、個人的にはあの言葉は、ユーザビリティを研究していた人向けの言葉。もうユーザビリティを超えるものってのは沢山あるから、もちろん忘れてはダメだけどもそっから出ていって考えることが大事だぜーって言葉。似た言葉のbeyond instrumental がなぜUX の要因になっているは多分それらのたくさんの考えられるべきことが要因としてあげられているからかな。
もちろんコレはユーザビリティを考える事への批判ではない。そしてとくにインタラクティブなプロダクトを作る際にその領域まで行くにはそれは必要であるからだ。でもきっとユーザビリティ屋さんが一人でできることには限界があるし、いわゆる狭義のデザイナーにも出来ることは限られている。そして技術の人やマーケットの人もいて、それら全てのどんな項目も「後付」になってはならない。
スケールが大きくなればなるほど、プロセスは線形になりがちだけども、各々の分野の人達がインタラクティブに働きかけることで生まれる商品ってのがイノベーティブなものにつながるのかなーとか思ったり。
結局何が書きたいのかわからない記事になってしまったけど、そゆチームで働ける会社も志望会社の一つです笑 就活がんばろっと。
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おもしろいね。
返信削除UXの定義にもよるが、いくつかの論文では、usabilityとUXがHCDの中にあるとも言われていて、usabilityとUXがしっかり出来ている商品こそHCDが達成出来ると。つまり2つは独立してて、どちらも同じくらい大事と。
あとは、Tractinskyの論文を読んでみたいよね。どう美しさと使いやすさを適宜しているのか超気になる!!
さらにちなみに、、、
返信削除usabilityの研究はNielsenを境に完全にストップしています。何故かというと研究対象にはしづらいんだよね。企業などで実践的にやることの方が多い。だから有名な人もNielsen以降あんまり出てきていない。日本だったら黒須先生がいるけど、彼ももう年だからねー。。
でも、何よりも大切なのはHCDだと思う!このmind setが何よりも大切。
なるほど。HCDとUX との関係については見た事なかったです。UXがHCD の中にある概念かは分からないけど、大事な概念。
返信削除あとTractinsky の論文は探せばすぐ出てきます。ちなみにその論文の元になった論文は黒須さん。"what is beautiful is usable" で出てくるはずです。
Usability の研究って言うともうUX とかの一部でしかないってとらえている研究者は多いよね。funology とかに代表されるように、そういった分野の研究も多く出てきているし。。。
UXはプロダクトって感じかな?utilityもusabilityも革新的な技術も全部含まってるってイメージがする
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